双葉博士
どうですか今度のは。

獅子ヶ島委員
まさか今回も敵の倒し方をとんちで考えるだけとかいうんじゃないだろうね。

双葉博士
いやですねえ、前回の私は字ちょっとどうかしてたんですよ。

獅子ヶ島委員
なにかあったのかね。失恋とかかね(笑)。

高橋委員
獅子ヶ島委員、セクハラに注意を。


双葉博士
ちょうど趣味のほうの具合がうまく行かなくて悩んでいたんですよね。

高橋委員
本業のほうでは悩まなかったんですか。

双葉博士

なかなかいい羊の腸が手に入らなくて。


望月委員
ソーセージ作りですか。


双葉博士

いえテニスラケット作りです。

高橋委員
いい羊の腸は手に入らないのに、よく一休さんを蘇らせることができましたね。

双葉博士
DNAさえあれば現代技術でいくらでも蘇らせられますからね。

獅子ヶ島委員
DNAったって。まさか大徳寺の一休の墓をあばいたんじゃないだろうね。

望月委員
いえ、一休宗純の墓は大徳寺でなく京都府京田辺市の酬恩庵、通称一休寺にあります。
一休宗純は 後小松天皇の落胤であるとされているために廟所は宮内庁の管轄となって
おります。

獅子ヶ島委員
…あばいたんじゃないだろうね。

双葉博士
はっはっは、人を古代エジプト研究家と一緒にしないでくださいよう。

高橋委員
それはそれで問題発言だと思いますが。

双葉博士
この酬恩庵の名物に一休寺納豆というのがありまして。

望月委員
一休宗純が発明したという納豆ですね。どちらかというと味噌に近い風味であるという。

レムミ助手
一休寺納豆の作り方は大豆を蒸籠で蒸し、麹で発酵させて、塩漬けにして熟成するという、今も手作業でつくられているというものでっす。

双葉博士
この麹に我々は注目いたしまして。一休寺納豆の麹は、酬恩庵の麹室の中に繁殖するコウジカビによってできあがるものなのです。一休さんが納豆作りにかかわったのですから、麹菌の中に一休さんのDNAが少しぐらい残っていても不思議ではないと思いまして、調べてみたら見事大当たり。

高橋委員
コウジカビというのは人間のDNAを保持するようなしくみがあるんですか。

双葉博士
専門外なのでよくわかりませんがそうなんじゃないんですか。

高橋委員
何の専門なんですか。

望月委員
資料によりますと酬恩庵の本堂は永享年間の創建当時のものですが、方丈、庫裏、唐門、東司、鐘楼などの施設は1650年に再建されたものとなっていますね。麹室はどうなんですか。

獅子ヶ島委員

それに残っていたとしても、その間に何人の坊さんが入ったかわかったもんじゃないからねえ。


双葉博士
本物ですよ。橋も真ん中を渡りましたし。

望月委員
それだけ、ですか。

双葉博士
いいんですよ。本物の一休さんかどうかなんて。性能がよければいいんじゃないですか。

高橋委員
だったらとりあえず新しい名前を考えてください。

双葉博士
なんでですか。

獅子ヶ島委員
DNAを使ってもいない一休さんの名前をつけたら、不当表示になっちゃうからねえ。消費者も黙っていないだろうし。

双葉博士
誰なんですか消費者って。

高橋委員
悪怪協(※1)の意見もそう無視ばかりはできませんしね。アムネスティからの勧告(※2)も出てますし。
※1 悪怪協
悪事怪人人権保護協議会の略称。
退役悪事怪人や弁護士などで構成され、怪人対策技が怪人に対して過剰ではないかなどを審査し、
格付けする。
※2 アムネスティ勧告
怪人対策用怪人に公表されたデータと違うことがある国として134カ国を名指ししたもの。

双葉博士
だったらどんな名前をつけたらいいんですか。

望月委員
まずこのDNAの抽出先をはっきりさせてください。その方の了承を取り、名前をつければいいのではないかと。

双葉博士
誰かなんて、酬恩庵の麹室に数百年間に何人の人間が入ったと思ってるんですかっ!
わかるわけないでしょうがっ!

望月委員
しかしそれをはっきりさせないと後でいろいろと問題が出てきますしねえ。

高橋委員
あ、ちょっと今、怪人が幼稚園のバスを襲う騒ぎがあったようなんですが、テレビをつけてください。

レムミ博士
怪人チャンネルねー。

双葉博士
ちょっとっ話の途中ですよっ!

レムミ博士
ほら、博士、あれー。

望月委員
あー、あれは…。

高橋委員
ほら、博士、あの犯人の怪人の顔…。
今回の怪人と…似てませんか?

双葉博士
似て…ますねえ…

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