【これまでのあらすじ】 |
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一言で言うと変態だな。 |
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まったくだよ、人が見ている前で消えるなんて まるで魔術だ。まったく不思議だ。 |
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よくわからないがたぶんそれは |
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その現象自体が不思議だよ。 |
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それで、ヴィルヘルム・ゴッツライヒ・ ジギスモント・フォン・オルムシュタイン ボヘミア国皇太子が消えたというのは どういう状況なんだい、レストレード警部 。 |
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参加者は私達とヴィルヘルム・ゴッツライヒ・ |
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しかし、真犯人の手先ということも あるだろう? |
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いいのかそれで。 | |||
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はい、私たちがその黒ツグミの間に |
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私の側の席は順にガベルスベルガー嬢、 シュテンハイム嬢、私、カイテル子爵夫人の順、 そして向かいの側はゼークト伯爵夫人、 そしてひとつ空きの席、そしてヴィルヘルム・ ゴッツライヒ・ジギスモント・フォン・オルムシ ュタインボヘミア国皇太子、 オットマン少尉の順 でした 。 |
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ええ、私も気になっていたのですが、 どなたも気に止めておられないよう でしたので、なんだか聞けずに…。 |
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はい、 私たちが席についてから10分ほどは ヴィルヘルム殿下もお見えにならず、 私はシュテンハイム嬢とお話していました。 ヴィルヘルム殿下が大英帝国からご帰国の 後のことをお聞きしましたけども、宮廷に アイリーン・アドラー嬢らしい方が現れたと いう話はありませんでした。 |
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いえ、いつもと変わらぬ涼しげな笑顔で、 軽やかな足取りで入ってこられました。 |
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はい、ヴィルヘルム殿下が席につかれて すぐにゼークト伯爵夫人が 「ご婚約おめでとうございます」と 声をかけられますと 「違いますよ夫人、それは単なる噂です。」 とヴィルヘルム殿下は否定されまして。 どうやらヴィルヘルム殿下の叔父上の オルムシュミット大公が、 ヴィルヘルム殿下に 縁談をしきりと進めておられるのです。 |
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それから、たわいもない話が つづきまして 。 |
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え、でも…。 | |||
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はい、あの… ヴィルヘルム殿下は私のことを お聞きになりまして… |
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あの…。 | |||
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その…。 |
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あの、ヴィルヘルム殿下が |
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父上の、あのマッケンゼン男爵の ご許可が得られたら、このボヘミアで しばらく暮らしてみないか、なんて…。 |
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それであの、そういったことを お話しているうちに、ヴィルヘルム殿下が 私の写真を撮りたいとおっしゃられて。 ああ、ヴィルヘルム殿下は写真がご趣味 なのだそうで、それで写真機を取りにいか れようと、先ほどお話した、誰もおられない 席の後を通られたときに、すうっと… |
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いいえ、扉も窓も大変遠いところでした。 もちろん、床にも分厚いじゅうたんが ひかれておりまして、その下に隠し通路や 落とし穴があるようには見えません。 もちろん近くに隠れられるようなクローゼット などもありませんし、椅子もテーブルもいたって 普通でした。 それに、ヴィルヘルム殿下が消えた時、 他の列席者の方も席からお立ちになったりする するような、おかしな行動をとったりされる方は おられなかったのです。 |
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はい、それがですね。 |
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はい、もちろん皆さんあわてて 衛兵を呼んだり、じゅうたんをはがして床を 調べたりとか、なさっていたんですが、 ちょっとカイテル子爵夫人の反応は おかしかったような気がします。 |
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どう…とはうまく言えないんですけど… |
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それにしても、ヴィルヘルム殿下、 どこに行ってしまったんでしょうね、 無事だといいんですが…。 |
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はい、なんでしょう。 |
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あ。 | ||
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あの… |
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それでですねえ。 |
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あっはっは、痛い痛い痛いですよう
ホームズさん。 |
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おい、そんなことしてる場合じゃ
ないだろうが。 |
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ああ…ヴィルヘルム殿下… |
なんとヴィルヘルム・ゴッツライヒ・
ジギスモント・フォン・オルムシュタイン
ボヘミア国皇太子が!
はたしてヴィルヘルム・ゴッツライヒ・
ジギスモント・フォン・オルムシュタイン
ボヘミア国皇太子失踪の犯人は!?
つづく!前回と同じ!