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これまでのあらすじ・
ホーシャムのジョン・オープンショーという青年の伯父は、五つのオレンジの種を同封した手紙を受け取った後に変死した。
オレンジの種五つを符牒とする秘密結社KKKの手による犯行だと見抜いた探偵・シャーロック・ホームズだが、
オープンショー青年は謎の死を遂げる。
KKKの仕業であるということを見抜いたホームズたちは、オープンショー青年の敵を討つための計画を始める。
そして来月にKKKの来英記念ライブが開かれるというのだが…
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だいたいライブって何をやるんだよ。 | |
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| それは白い布をかぶってステージ上をうろつき回り、客席では客がたいまつを左右に振るんだろうが。 |
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たいまつなんか振り回すなよ。 |
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| そのためにKKKはアメリカ政府からも危険視されているのだ。 | | |
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そりゃ危ないけどな。 |
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ともかくその場こそKKKのしっぽを捕まえる絶好の機会なのだ。
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まあそんなおおっぴらなライブをやるなら、警察に通報するとかだな。 |
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| そうはいかん。スコットランドヤードにできるのは国外追放がいいところだ。それでは仇を討ったことにならん。
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じゃあどうするんだ。 |
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ええっ？
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まあファンが知らなかったらの話だがな。 |
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| そうすれば思わず手にしたたいまつをショックのあまり落としてしまう。 |
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わああぶない。 |
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| たちまちライブハウスは大炎上。これでKKKの奴らは丸焦げさ。 |
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なるほど。でも、どうやって事件の秘密をばらすんだ？ | |
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ということはそのあとの火事で君も丸焦げだ。
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それにだいたいどうやってKKKだらけの所に潜入するんだ？
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本当に見ただけのチェックしかしないのか？ |
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じゃあもし別のチェックがあったとしたら？
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…だったらもうちょっと別の計画を考えた方がいいんじゃないか？ |
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おい。 |
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なんでだよっ！ |
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| 考えても見ろ！仇を討ちたいというのは人間の純粋な、純粋な、純粋な真心から生まれる物だっ！その思いをとげるのに純粋な思いから生まれた計画を使わなくてどうする！ |
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何を言ってるんだ君は。 |
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| それを純粋でない、奸智を極めた計画を使って仇を討ってどうする！それで仇を討っても、きっとオープンショー青年は喜ばない！ |
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それよりは仇を討ったほうが喜ぶんじゃないか。
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| それに、僕の仇を討ったという時の爽快感も半減される！ |
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爽快感目当てかよ。
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人はそういう自らの快楽原則に忠実に従って生きる下僕に過ぎないのだよ。
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何を言っているんだ。
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| ともかくそういう気持ちよさが獲得できないような仇なら討つ気はないな。
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まったく身勝手だなあ。 |
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| 勝手なのはどっちだ。勝手に訳のわからない組織の陰謀に巻き込まれて、勝手に殺害されるなんて。 |
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被害者の勝手じゃないだろう。 |
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| ともかくそういう勝手な奴の仇は知らん。ワトスン君、君が討ちたければ勝手に討て。 |
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ええっ。僕一人でか!? |
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| 当たり前だ。そこまで偉そうに言うなら君が討てばいいだろう。その計画を立ててみればいいだろう。 |
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け、計画って言ったってなあ…僕は医者だし…
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| ほーう。職業が計画に影響するのかね。影響するのは個人の知性じゃないかね。まったく所詮ヒゲ人間にはそういった高度な知性的作業は向かないんだな。あっはっはっははは。 |
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な、なんだとうっ！
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| あっはっはははは、悔しかったら精緻な仇討ち計画を立ててみたまえ。あっはっはははははははは。ほれほほれほれ。あっはっははっはははは。 |
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ぐぬぬぬぬぬぬ。
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わかったっ！言ってやろうじゃないかっ！
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まずとにかく人を100人ほど集めるんだ。 | |
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そしてその人達をインクか何かで黒く塗るんだ。 | |
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そういった人たちがライブ会場の側を通るんだ。そうすればKKKの奴らは白人至上主義だから、たくさんの黒人を見れば大騒ぎとなるだろう。 | |
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そこをスコットランドヤードの手で鎮圧させるんだ。暴動の現行犯だ。 |
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さらに外国に出て暴動を起こす存在となれば、アメリカ政府も黙ってはいられない。放って置けば大英帝国との関係も悪くなるからな。つまりその結果アメリカ本土のKKKも壊滅するというわけさ。 |
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どうだ？ |
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| ワトスンくん…その計画、僕が考えたことにしてもいいか？ |
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いいわけあるかっ！
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待ってろKKK！この俺の考えた作戦で一網打尽だぜ！
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| しかし、ホームズ達の作戦が実行にうつされることはありませんでした。来英予定だったKKKのメンバーは音楽性の違いを理由に解散してしまったのです。ホームズ達は辛抱強くKKKの来英公演を待ちましたが、KKKの復活再結成はさらに30年後だったのでした…。
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