ふたご1 「今年の紅白歌合戦からは、鎖鎌の使用が許可されるそうですよ!」

ふたご2

「そんな武芸者風の歌手は出場しているのですか。」

ふたご1 「国際神学委員会が、『辺獄』の教えをカトリック教義から削除するようローマ法王に要請するそうですよ。」

ふたご2

「なんですか『辺獄』というのは。」

ふたご1

「まず『地獄』がありますね。罪を犯した人間が落ちるところです。」

ふたご2「はい。」

ふたご1

「そしてキリスト教の場合には『煉獄』というのもあります。これは地獄に落ちるほど罪深くはない人が罪を清めて天国に行くためのところです。」

ふたご2

「はあ。」

ふたご1

「そして辺獄というのは洗礼を受ける前に死亡したものが行くところとされています。これは幼い新生児などが当てはまります。それはかわいそうでではないかということで、先代のローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の意向で廃止の方向で検討されていたのだそうです。」

ふたご2「そういうのが廃止とかできるんですか。」

ふたご1

「この辺獄に関しては聖書にもはっきりとした記載はなく、代々のローマ教会で決められた教義なのでそれほど難しくはないそうですが、ダンテの『神曲・地獄篇』にも描かれたという伝統のある教義なのでヨーロッパでは大騒ぎだそうです。」

ふたご2「まあそうかもしれませんが。」

ふたご1 「日本で言うと『お彼岸』を廃止するというようなものです。」

ふたご2「うーんわかるようなわからないような。」

ふたご1「毎日香の定吉も廃業です。」

ふたご2「まだお盆がありますよ。」

ふたご1

「しかしこういう方法があるというのは大変参考になりました。」

ふたご2

「そうですか。」

ふたご1

「考えてみれば、キリスト教に限らず仏教などの世界宗教も、時代によって変化していくものです。その宗教の精神を、時代によって違う考え方を持つ人々に伝えて行くためにはそれが必然なのかもしれません。ですから時としては思い切って教義の一部を変更するのも大切なことなのかもしれません。」

ふたご2

「まあそうかもしれませんねえ。」

ふたご1

「そこでこのような大切なことを教えてくれたカトリック教会に恩返しをするために、私が新しい教義を考えましょう。」

ふたご2 「迷惑な上に思いあがりもはなはだしいですよ。」

ふたご1

「今の社会を見回すと、数十億もの人がいます。罪を犯す人も何億といるでしょう。それらの人々に地獄と煉獄だけではニーズが足りません。もっともっといろいろな獄をつくるべきではないでしょうか。」

ふたご2「いろいろな獄ですか。」

ふたご1

「たとえば辛獄です。」

ふたご2

「つらそうなところですか。」

ふたご1 「いえ、出てくる料理がみんな辛いのです。」

ふたご2「地味な罰ですねえ。」

ふたご1

「主に罪を犯したインド人が行きます。」

ふたご2

「あんまり罰にならないような。」

ふたご1

「そうかと思えば甘獄です。」

ふたご2

「甘いものばかりですか。」

ふたご1

「いえ、カレーが甘口です。」

ふたご2「それだけかい。」

ふたご1 「おもにカレーは中辛が好きな罪を犯したインド人が行きます。」

ふたご2「インド以外にも対応しなさい。」

ふたご1

「永谷園が期間限定で『七草茶づけ』を発売するそうです。」

ふたご2 「七草ですか。」
ふたご1

「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロの春の七草です。」

ふたご2

「普通は七草粥なのですがねえ。」

ふたご1 「そうです。正月七日に七草粥を食べて疲れた胃を休め、一年の豊作を祈る風習が、なんとお茶漬けでできてしまうという。」

ふたご2 「へえ。」

ふたご1

「これもお粥を食べられない人が七草に参加できるようにとの、ヨハネ・パウロ二世のご意向があってのことです。」

ふたご2

「嘘をつけ。」

ふたご1
「はっ、やはりホトケノザがあったことで見抜かれましたか。」

ふたご2

「もっと根本的なところでだ。」

 

ふたご1
「嘘をついてしまったこんな僕は炊いたご飯がややかため獄におちるほかないのでしょうか。」

ふたご2 「チャーハンでも食ってなさい。」

12月2日、セリは英語でジャパニーズパセリ。ジャパニーズパ。セリ。エキサイティングリーグパ。セリ。

 

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