ふたご1

「そーれそれそれ集まりだー。」


ふたご2

「まず何の集まりかはっきりしてください。」


ふたご1

「フランスのアビニョンで、ある女性の画家が同じく画家であるサイ・トゥオンブリ氏から訴えられているそうです。」


ふたご2
「なんですか。」

ふたご1

「アビニョンで展示されていたサイ・トゥオンブリ氏の絵画にキスマークをつけたとして訴えられているのです。」


ふたご2

「なんでまたそんなことを。」


ふたご1

「この女性画家の方は『作品に対する愛』を表現したということなんですが。」


ふたご2
「愛なんですかねえ。」
ふたご1

「トゥオンブリ氏側は『愛には両者の合意が必要なはずだ』とあくまで愛を認めない方針。」


ふたご2

「どっちかというとストーカーに近い愛ですね。」


ふたご1

「またこの絵画の価格も3億円はするというものだったのです。」


ふたご2
「それはまた時に愛も買えるほどの値段ですね。」
ふたご1

「このような美術品が個人によって傷つけられる行為というのは結構ありまして。」


ふたご2

「そうなんですか。」


ふたご1

「かつてはミケランジェロのダビデ像やピエタ像、最近ではモネの絵画が酔っぱらいによって傷つけられたそうです。」


ふたご2

「金閣寺とかもそうでしたか。」


ふたご1

「ちなみにモネの事件では女性画家が『あれは愛じゃない』と非難しているとか。」


ふたご2

「まあ愛の問題じゃないと思いますが。」


ふたご1

「こういうことがあると芸術家側も考えないといけないですね。」


ふたご2

「なにをですか。」


ふたご1

「どんな攻撃でも破壊されない美術品を作る必要があるのです。」


ふたご2
「どういうことですか。」

ふたご1

「たとえば絵画ならどんな攻撃を受けても汚れたり破れたりしないキャンバス。」


ふたご2
「そんなキャンバスにどうやって絵を描くんですか。」

ふたご1

「どんなものにでも描ける絵の具で描けばいいじゃないですか。」


ふたご2

「…矛盾って知ってますか。」


ふたご1

「知ってます。」


ふたご2
「それならいいんですが。」

ふたご1

「同様に彫刻はどんな攻撃でも壊れない素材を、どんなものでも削れるノミで彫ればよいのです。」


ふたご2

「知識がまったく身になっていないですね。」


ふたご1

「しかし、現実にはそういう材料を手に入れるのは難しい点もあると思います。」


ふたご2

「難しいというか不可能です。」


ふたご1

「そういうことなので、芸術家はもっと違ったアプローチをとる必要があるかも知れません。」


ふたご2
「なんですか。」
ふたご1
「つまり、なぜ作品が破壊されるかと言えば、作品を破壊しようとする人がいるからです。」
ふたご2

「そりゃそうです。」


ふたご1

「その破壊する人は、破壊しようと思ったから破壊しようとするのです。」


ふたご2

「そりゃそうです。」


ふたご1

「ですから破壊する人に破壊させる気を起こさせなければ良いわけです。」


ふたご2

「しかし破壊する動機も愛とか嫉妬とか様々ですが。」


ふたご1

「ですが、それらには共通点があります。」


ふたご2
「なんでしょう。」

ふたご1

「それは、作品を目の前にして出てきた感情であるということです。」


ふたご2

「はあ。」


ふたご1

「だから、目の前にしても何の感情も起こらない芸術作品を作ればいいんです。」


ふたご2

「それは芸術作品と言えるのか。」


ふたご1

「そうなれば美術館に『へー。』『ふーん。』『で?』などの声が響き渡るように!」


ふたご2
「来るんじゃないよそんなところ。」

10月12日、厳密に言うと少し感情が動いているので良くない。

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