ふたご1

「飴の浅田の缶遠く、幸い住むと人の言う。」


ふたご2

「のどの薬は住んでいますけどね。」


ふたご1

「上野のお山と言えば西郷さんの銅像ですが。」


ふたご2
「犬を連れたあれですか。」

ふたご1

「鹿児島の英雄ですから鹿児島にも銅像がたくさんあるのです。」


ふたご2

「そうでしょうねえ。」


ふたご1

「その中でも最大の銅像である、鹿児島市城山公園の西郷隆盛立像の様々なサイズを鹿児島工業高校の生徒が測定したそうです。」


ふたご2
「測定ですか。」
ふたご1

「作った時にデータをとっていなかったそうなのですが、今回身長や胴回り、耳の長さなどの様々な寸法が測定されたのです。」


ふたご2

「まあ銅像は工業製品でないですからそこまで精密なデータは必要ないですからねえ。」


ふたご1

「考えてみればいつも見ている銅像なのに、そう言う細かいデータを知らないというのも残念なものです。」


ふたご2

「そうですかねえ。」


ふたご1
「たとえば二宮金次郎が背負っていた薪の木の品種は何なのか、楠木正成の乗っていた馬はダートと芝のどちらが得意そうだとか、寛一がお宮を蹴った時のお宮に与える衝撃の度合いはどの程度かなどなど、知らないことばかりです。」

ふたご2

「知らなくてもいいことだと思いますが。」

ふたご1

「銅像と言えば都市のランドマーク。その銅像の事を知らずして都市を語れるでしょうか。21世紀の社会ではそういったことが求められているのでしょう。」


ふたご2

「そうかなあ。」


ふたご1

「ですから銅像にも21世紀にふさわしい装飾を。」


ふたご2

「装飾?」


ふたご1

「今言ったようなデータを銅像の体に書き込んでいくのです。」


ふたご2
「そんな耳無し芳一みたいな銅像は嫌だ。」

ふたご1

「そういう懸念を解消するために耳のスペアも作っております。」


ふたご2
「それなら耳にも書き込め。」

ふたご1

「ガラパゴス諸島という島々がありまして、そこの生物は島ごとに独特の進化を遂げているのです。」


ふたご2

「ダーウィンが進化論を書くきっかけになった島ですね。」


ふたご1

「その中のピンタ島に住むゾウガメの一種、ピンタゾウガメは絶滅寸前でした。」


ふたご2
「はい。」

ふたご1

「ロンサムジョージとよばれる一匹のゾウガメしか残っていなかったのです。」


ふたご2

「寸前ですねえ。」


ふたご1

「しかしこのほど、ロンサムジョージに近いゾウガメを発見したのです。」


ふたご2

「へえ。」


ふたご1

「しかし、発見されたのはピンタ島ではなくイザベラ島で、しかもほかの島系のゾウガメと交配したゾウガメだったのです。」


ふたご2
「ほかの島ですか。」
ふたご1
「しかしここで疑問が生まれます。ゾウガメというのはリクガメなので、海を渡るほどの遠泳がはたしてできるものなのか。」
ふたご2

「交配したと言うからには海を渡らないといけないですからねえ。」


ふたご1

「仮説としてはまず、人間の手によってピンタゾウガメがイザベラ島に持ち込まれたということです。」


ふたご2

「そうですねえ。」


ふたご1

「大航海時代は食料として生きたゾウガメを船に乗せることが行われていたので、その時に逃がしたとか言う可能性も。」


ふたご2

「ありますねえ。」


ふたご1

「ほかの可能性で言いますと。」


ふたご2
「なんですか。」

ふたご1

「かつてゾウガメの知能はもっともっと高かったからだという事です。」


ふたご2

「どういうことですか。」


ふたご1
「ゾウガメはかつて高度な社会文明を築いていたのです。」

ふたご2

「断定しますか。」


ふたご1
「しかし、そういった社会文明を築くのは間違っているのではないか。ゾウガメはゾウガメらしく、自然にとけ込んでいくのが本来の姿ではないか。そう考えるゾウガメもいたわけです。」

ふたご2
「まあ高度になるとそういうこともありますね。」

ふたご1
「そして自らの体を海にとけ込ませたゾウガメが、イザベラ島の海岸で乾燥して元に戻り、イザベラ島に子孫を残すことになったというわけです。」

ふたご2
「文字通り溶け込みすぎです。」

5月4日、溶解伝説 特攻(とけこみ)の亀。

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