続々々々々々々々々々々々々・智恵子(小)

はじめに

この物語はある作家(家族の強い要望により匿名)の智恵子(小)との深い愛憎の様子を作家本人が記した日記である。
作家自身は発表の場を求めていたが、家族の強い反対により、商業誌での発表は見送られた。そのため一昨年に作家の匿名、また作家を特定できるような個所の非公開を条件としてその一部をSAKANAFISHにて公表した。

今回は、作家自身の強い要望により、前回の続きの公開をするものである。

なお、前回、前々回、前々々回、前々々々回、前々々々々回、前々々々々々回、前々々々々々々回、前々々々々々々回、前々々々々々々々回、前々々々々々々々々回、前々々々々々々々々々回掲載分を ご覧になりたい方はこちらへ。


12月10日

柱松君より仲人の依頼。家人に連絡を取るのも面倒で断るが、また来るという。億劫。智恵子(小)が減量を始めるという。そんなに小さいのであるから誰も気づかぬと嗤ってやる。夕刻、「抱月」、蕪蒸。

12月11日

柱松君再来訪。鹿児島の実家からと軽羮を贈られる。美味。しかし仲人は断る。風呂に入ると右足の小指が小さい。「ダイエットの成果よ」智恵子(小)は嘯く。


12月12日

柱松君再々来訪。金沢の実家からと長生殿を贈られる。乾燥。しかし仲人は断る。風呂に入ると左足の中指が小さい。「ダイエットの成果よ」智恵子(小)は嘲う。

12月13日

柱松再々々来訪。横浜の実家からとシウマイを贈られる。緑豆。勿論仲人は断る。風呂に入ると右足の親指が小さい。「ダイエットの成果よ」智恵子(小)は貶む。

12月14日

柱松再々々々来訪。東京の実家からと名糖アルファベットチョコレートを贈られる。ABC。無論仲人は断る。風呂に入ると左足のすね毛が短い。「ダイエットの成果よ」智恵子(小)は蠢く。

12月15日

H再々々々々来訪。モスクワの実家からとKGB最中を贈られる。冷たい。当然ながら仲人は断る。夕刻から軽い腹痛。冷えたか。寝床に着こうとすると智恵子(小)巨大。「ダイエットの成果よ」智恵子(小)は聳える。

12月16日

ハシラー再々々々々々来訪。伊賀上野の実家からと十字手裏剣を贈られる。伊賀者か。仲人は断りつつかわすがなおも十字手裏剣攻め。裏の林に誘い込み、枝から枝へとムササビ飛び。しかし三つ目の枝を踏み外し落下。ダイエットの後遺症か。せまるハシラーの前に謎の矢。去るハシラー。遠くに謎のくの一。深まる謎。夕刻、「抱月」、鴨鍋。

12月17日

怪傑柱松再々々々々々々来訪。龍神谷砦の実家からと柱松忍者軍団を贈られる。数で勝負か。ばったばったと斬り倒しながら仲人は断るが多勢に無勢。裏庭の滝の上に追い詰められる。万事休すか。そこに再び謎のくの一が出現。ジャイアントくの一ロボで忍者軍団を撃滅。怪傑柱松は滝に落ちる。しかしあれが最後の怪傑柱松とは思えない。いつか第二、第三の怪傑柱松が現れるのかもしれない。昼過ぎ、K君より新巻鮭が届いたので焼く。智恵子(小)に分けてやるが、減量中ということで鱗しか食わない。ダイエットとは非合理、と哂う。

12月18日

柱松レボリューション再々々々々々々々来訪。VFXやワイヤーアクションを駆使した攻撃は美しいが、所詮実体の無い映像に過ぎない。秘奥儀無影脚で撃退。謎のくの一が来るが茶だけ出して帰す。午後執筆。

12月19日

終日執筆。柱何とかが来たような気がするが軽くあしらったのであろう。冷蔵庫のプリンが一つ消えている。謎のくの一の仕業か。

12月20日

藪橘来訪。柱某と協力して追い返す。その後柱某も追い返す。昨日の友は今日の敵。昼に「龍官」で中華。夕刻、通りがかった公園で謎のくの一がブランコを揺らす。哀愁。智恵子(小)がカレーをもって行く。生まれる友情。降り注ぐ夕陽。

12月21日

早朝、異様な気配で目覚める。柱ックスとは圧倒的な差がある、何かが迫ってきている。不穏な空気の中で終日執筆。柱ックスや謎のくの一も来たがそれなりに対処。

12月22日

終日執筆。しかし、確実に迫ってきている。智恵子(小)に謎のくの一が転職の相談。智恵子(小)、闇のくの一業界に顔が利くらしく周旋できると言う。謎のくの一の決断や如何に。

12月23日

ついに登場した長湿地嬢は柱松君の婚約者という。山口の実家からと瓦蕎麦を贈られる。瓦の上で茶蕎麦が香ばしい。長湿地嬢はJ社の編集で、昨年末のTの出版パーティで柱松君と出会ったと云う。柱松君には似合わぬ楚々とした美人であるが、礼儀正しく立ち振る舞いも見事である。柱松君はよい伴侶を得たと欣喜に堪えない。だが、仲人は断る。決戦開始。

12月24日

スクロウリング・シャイニング・ブロウにはネバー・セイ・エンド・キック。グローリアス・ネイティブ・アローにはエコノミック・アドバイザー・ビーム。双方の技を尽した戦いに智恵子(小)も拍手を惜しまない。二十一時頃に長湿地嬢去る。若い恋人同士というのは微笑ましい。だが、断じて仲人は請けない。夜更過ぎに雪。

12月25日

基督降誕祭。終日執筆。

12月26日

長湿地嬢のアルティメット・アースクエイク・ドロップで拙宅半壊。アトミック・セントラル・ヒーティング・ボンバーで辛うじて撃退する。夕食に長湿地嬢よりの歳暮明太子を焼く。大変結構。

12月27日

玄関に忘れ物。長湿地嬢のものであろう。鎖帷子と手裏剣とくの一マスク。もしや。

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