ふたご1

「商いは止まらないレッサーパンダ。」

ふたご2

「止まっていても差し支えないですよ。」

ふたご1 「以前なまはげ伝道士という試験のお話をしましたが。」

ふたご2

「しましたね。」

ふたご1

「今度は京都・観光文化検定試験というのがあったそうです。」

ふたご2 「京都ですか。」

ふたご1

「『はんなりという言葉の意味などを正確に書け』や『祇園祭の時期に食べない野菜は何か』などの問題が続出。」

ふたご2

「なかなかに難しいですね。」

ふたご1

「時間が来ると試験官の『ぶぶ漬けでも食べていっておくれやす』の声で試験終了。」

ふたご2 「いやな終わり方ですね。」

ふたご1 「ここで帰らないと永久受験資格剥奪です。」

ふたご2 「ぶぶ漬けですからね。」

ふたご1 「なにしろ100年くらい住んでいたところで京都人と認めてくれない土地柄ですから当然厳しいです。」

ふたご2 「そんなに厳しいですか。」

ふたご1 「問題は100問、4択式というボリュームです。」

ふたご2 「それはすごいですねえ。」

ふたご1

「いえいえ、こんなところで驚いていては、この試験の本当の恐ろしさはわかりません。」

ふたご2

「まだ恐ろしいんですか。」

ふたご1

「試験会場にさかさにホウキが立てかけてあるのに気づかずに、受験してしまった人間はみんな不合格です。」

ふたご2

「合格させる気あるのかその試験。」

ふたご1

「東レがナノマトリックス技術を生かした新素材、ルージュオフを開発したそうです。」

ふたご2

「どんな新素材ですか。」

ふたご1 「口紅やファンデーションなどの化粧品がついても、洗濯で手軽に落ちる素材なのだそうです。」

ふたご2

「ほお。」

ふたご1

「この技術が徐々に進展していけば、化粧品がつかない服ができ、『ワイシャツのえりになによあなたこの口紅はキー』といった日本の風物詩もなくなってしまうわけですね。」

ふたご2 「風物詩ではないとは思いますが。」

ふたご1 「そんな布地を使った子供服ができれば、『スモックのすそにあなたなんでちゅかこの口紅はバブー』といったこともなくなってしまうわけです。」

ふたご2

「そんなことがあったかどうかもわかりませんが。」

ふたご1 「そしてその布地を使ったスペースシャトルができれば『ブースターのすみにあなた何よこの口紅はゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』といったことも当然ながらなくなってしまうわけです。」

ふたご2 「布地でスペースシャトルを作ることをまずなくしてください。」

ふたご1

「ドイツ南西部の洞窟で、3万年前のフルートが発見されたそうです。」

ふたご2

「フルートですか。」

ふたご1

「マンモスの牙で作られたこのフルートは、半円形の断片二つをつなぎ合わせて作ったというものです。フルートとして使うためには、空気が漏れないようにぴったりと継ぎ合わせなければなりません。そういった高度な技術が三万年前にあったというのは大きな発見です。」

ふたご2

「すごいですね人類。」

ふたご1

「発見されていないだけで、三万年前の人類はもっともっと高度な技術を持っていたのかもしれませんねえ。」

ふたご2 「そうかもしれませんねえ。」

ふたご1

「バイオリンやチェロなども作ってオーケストラを作っていたかもしれません。」

ふたご2 「それはもう高度にもほどがありますねえ。」

ふたご1 「そして観客席でいねむりなどしていたかもしれません。」

ふたご2

「そのへんも変わりませんか。」

ふたご1

「そしてその居眠りしている人を起こすために、何かよいものはないかと考えたかもしれません。」

ふたご2

「まあやってる側としてはそういう気になりますね。」

ふたご1 「木の棒などでたたいても起きません。なにしろ当時の人間は今の人間などよりはるかにたくましかったのですから。」

ふたご2 「たくましいとかいう問題ではないような気もしますが。」

ふたご1

「たたくだけではだめだ。こすってみよう。ぐりぐりとしてみよう。」

ふたご2

「ぐりぐりと。」

ふたご1 「そうして摩擦熱で、火が!こうして、人類は火を手に入れたのです!」
ふたご2

「しょうもない文明ですね。」

12月17日、「母さん、僕のあの麦藁帽子、どこにいってしまったんでせうね…。」火野正平

 

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