ふたご1

「酢イカを買ったところ度を越してすっぱいのですが、
この怒りは誰にぶつけるべきでしょう。 」

ふたご2 「ぶつける余裕があるのなら胸の奥にしまってください。」

ふたご1

「フランスではレストランにかかる付加税がファーストフード並みの
5.5%に引き下げられたそうです。」

ふたご2 「はあ。」

ふたご1

「つまりフランスとしてはこれからどんな高級レストランも
ファーストフード店扱いしていくというシラク大統領の
気持ちのあらわれです。 」

ふたご2 「いや、それは真逆でしょう。」

ふたご1

「どんな高級料理にもポテトをつけろという。」

ふたご2

「とたんに貧乏臭くなりますね。」

ふたご1 「このようにレストラン減税をしたのは、レストラン業界が
フランスでは大きな力を持っているからなのです。 」

ふたご2 「世界三大料理の国ですからね。」

ふたご1

「歴史の影にも料理業界が暗躍して来ました。 」

ふたご2 「暗躍ですか。」

ふたご1

「数多くの王侯や政治家達が、フランスパンをのどに詰めて
歴史の闇に消えていきました。 」

ふたご2 「のどにですか。」

ふたご1

「正月に。」

ふたご2 「もちじゃないんですから。」

ふたご1

「その頃フランスには依頼された標的ののどにフランスパンを
詰めて消していくという恐るべき暗殺集団があったのですよ。」

ふたご2 「恐ろしいような恐ろしくないような。」

ふたご1

「フランスの家庭のどこにでもあるフランスパンを使えば
誰にも怪しまれずに犯行が行えるという寸法ですよ。 」

ふたご2

「まあそれはそうですが。」

ふたご1 「この組織は数百年にわたって暗躍してきました。しかし、ある時
壊滅してしまうのです。 」

ふたご2

「はあそれはまたなぜ。」

ふたご1 「それはパリ警視庁がある壊滅作戦を行なったからなのです。」

ふたご2 「どんな壊滅作戦ですか。」

ふたご1

「つまり犯人の手口を研究した結果、犯行を完全に防ぐ
方法を考え付いたからなのです。 」

ふたご2 「はあ、それはどのような。」

ふたご1

「それは、フランスパンを丸のみするという風習の廃止という、
誰も思いつかなかった作戦です。 」

ふたご2 「…元からそんな組織なかったんじゃないですか。」

ふたご1

「その答えは歴史の闇に閉ざされて、杳として知ることは
できないのです。 」

ふたご2 「やかましい。」

ふたご1 「アメリカ大統領選挙の民主党の指名争いでケリー候補が
ほぼ勝利を確実にしましたが。」

ふたご2

「本番の大統領選挙でブッシュ大統領と戦うのですね。」

ふたご1

「そんななかで、有力候補の一人であったディーン候補の
選挙対策委員長、スティーブン・グロスマン氏がディーン候補の
応援をやめてケリー候補の陣営についてしまったのです。 」

ふたご2

「寝返りじゃないですか。」

ふたご1

「そんな、人を赤座直保みたいに。」

ふたご2 「せめて小早川秀秋ぐらいにしておいてください。」

ふたご1

「まあアメリカでは選挙対策活動もビジネスのひとつですから。
腕利きの選挙スタッフは高いお金を出して引き抜かれたりもしますし、
ビジネスに有利になると思えば敵方に寝返ったりもするのです。 」

ふたご2 「ドライといいますかなんと言いますか。」

ふたご1 「まあこれが結果的に選挙の透明度を高めたりすることもあるので
いちがいに悪いとは言えません。むしろ日本でも積極的に
導入していくべきだと思います。 」

ふたご2

「しかし途中で選挙仲間を裏切るのはなんだかいやですね。」

ふたご1

「そんなウェットな人間関係の日本人は、制度としてとりいれたほうが
心置きなく陣営移動ができると思うのですよ。 」

ふたご2 「まあそれなら少しは。」

ふたご1

「そんなわけで選挙活動フリーエージェント制を考えました。」

ふたご2

「フリーエージェントですか。」

ふたご1 「個人で一万票以上獲得した選挙運動員は、次回の選挙から
好きな陣営で選挙活動できるのです。 」

ふたご2 「しかし、個人の選挙運動員が票を獲得できたかどうか、
どうやって判断するんですか。投票用紙には候補者の名前しか
書けないじゃないですか。」

ふたご1

「まあそのへんは選挙運動員ごとに『山田・橋詰守・太郎』や
『山田・伊集院麗華・太郎』とかいうふうに自分の名前を
織り込んだ別々の候補者名で宣伝してもらってですね。」

ふたご2 「もう誰の選挙だかわかりません。」

2月20日、候補者名がこう、でっかくなっちゃうという。

 

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