ふたご1

「あかまきがみあおまきがみやませまみの横でいすごこと転ぶ桂三枝。」


ふたご2

「かむにしても豪快なかみ方ですね。」


ふたご1

「中国の周代の遺跡から、役人への賄賂を記した酒器が発見されたそうです。」


ふたご2
「周代といいますとどれくらい前ですか。」

ふたご1

「2879年前だそうです。つまり中国3000年の賄賂の歴史です。」


ふたご2

「まあ政治が始まったころからあったんでしょうが。」


ふたご1

「しかし賄賂を贈ったということを酒器に書き込む心境は今ひとつわかりません。」


ふたご2
「まあそうですねえ。」
ふたご1

「たとえば家で宴会を開いたときに、賄賂を取り締まる人の席にたまたまその酒器が回ってしまったらどうなりますか。」


ふたご2
「目も当てられませんねえ。」

ふたご1

「そうでなくても関係ない人にわたれば、賄賂を贈ったということがばれてしまいますし。」


ふたご2

「そうですねえ。」


ふたご1
「ということは自分だけが使うものにしか刻めないことになります。」

ふたご2
「なんのためにそんなことを。」

ふたご1

「つまりこれは、3000年前の賄賂の性格が、現在のものと違っていたのではないかということになります。」


ふたご2

「どうちがうんですか。」


ふたご1

「現在の賄賂は、有力者に贈って自分の利益を得るために行われます。」


ふたご2

「そりゃそうですが。」


ふたご1

「しかしそのころの賄賂はもっと純粋な目的で行われたのではないか。」


ふたご2
「何ですか純粋な目的って。」

ふたご1

「3000年前、政治に関することも現在のように成熟していなかったために、賄賂というのを贈ることはあっても、それが何のために贈るのかということがわかっていなかったのではないかということです。」


ふたご2
「いやそんなわけもわからず贈っているって。」

ふたご1

「しかし、後になってせっかく贈るのだから見返りを求めなくてはならないと考え出し、賄賂を贈られるがわに要求するようになっていったのです。」


ふたご2

「明らかに成立の過程が逆だと思いますよ。」


ふたご1

「つまり現在の賄賂はかつての姿を見失い、堕落してしまったのです。昔はもっと純粋に、ただ賄賂を贈るという目的だけのために行われていたというのに!」


ふたご2
「何を嘆くことがありますか。」

ふたご1

「せいぜい酒器に刻んで、自分だけで『ああ、賄賂を贈ったんだなあ』ということを満喫するためだけのものだったというのに!」


ふたご2

「そっちのほうがよっぽど気持ち悪い風習だと思いますが。」


ふたご1

「シティバンクがシンガポールで、指紋だけで決済できるクレジットカードサービスをはじめたそうです。」


ふたご2

「カードもいらないんですか。」


ふたご1

「カードが必要なくなる世界は便利といえば便利ですね。」


ふたご2
「まあそうですねえ。」

ふたご1
「指紋ならスキミングされたりしないし。」

ふたご2

「そうですね。」


ふたご1

「しかし指紋なら線を引くために定規代わりにできないあたりが問題かと。」


ふたご2

「普段カードを何に使ってるんですか。」


ふたご1

「あとちょっとした料理をするときにまな板がわりに使うものがなくなるとか。」


ふたご2

「小アジ程度もさばけませんよ。」


ふたご1
「あと赤福餅を食べにくいことですね。」

ふたご2
「カードを使わずに付属の木べらで食べてください。」

ふたご1

「あとはちいさな溝に詰まった汚れを掃除できないとか。」


ふたご2

「クレジットカードでもっといい掃除用具を買ってください。」


ふたご1
「あとは禅寺で、座禅の途中で雑念の入った坊主をたたいたりできないとか。」

ふたご2

「たたくほうが煩悩丸出しのような気もしますが。」


ふたご1
「あと雑誌の袋とじをきれいに破ることもできないとか。」

ふたご2
「まあ今までの使い方からすればまともなような気もしてしまいますが。」

ふたご1
「あと、『今夜マザランの涙をいただきます。』と書いて、富豪の元に予告状として送りつけることもできないとか。」

ふたご2
「身元丸出しですよ。」

11月17日、静電気も起こせます。

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