「風車の弥七役で知られた俳優の中谷一郎さんは『ミンクさん』というあだ名でよばれていたそうです。」
「シルクさんではありません。」
「麦か何かですか。」
「それがイチジクだったそうなのです。」
「まあ確かにそう腹持ちのいいものではありませんし、どちらかというと腹の中をすっきりさせてしまうイメージですし。」
「それは浣腸のイメージでは。」
「実際にイチジクにはお通じをよくする効果もあるそうなのですよ。」
「そういったことからイチジクの葉を身につけていたアダムとイブは便秘だったのではないかという説も一部にはあります。」
「ですから歴史の歯車がちょっと変わってしまえば、世界は穀物ではなくイチジクを中心として動いていたのかもしれません。」
「そうなんですか？」
「麦を使ったパンではなく、イチジクを使ったパンを食べ、ビールではなくイチジクを使った酒を飲むのです。」
「はあ。」
「しかし、ご存知のとおりですが、イチジクにはおなかの通りをよくする効果があります。」
「ですからそういう世界ができれば、人類はもっと頻繁にトイレに行くようになり、トイレがもっと身近な世の中になっていたのでしょう。」
「そうなれば世界は大きく変わります。」
「たとえばどんな世の中に。」
「中国ではブタが大量発生し、それを防ぐために新たな万里の長城が。」
「まあ中国ではブタに食べさせますけど。」
「ナポレオンはたった3時間しかトイレに行かないとして評判に！」
「よくなりすぎですよお通じ。」
「北朝鮮では煙草統制法という法律を作って、喫煙者の大学入学資格を剥奪する方針だそうです。」
「極端な国ですからねえ。」
「しかし、北朝鮮といえばマルボロやマイルドセブンなどの世界中のブランド煙草を偽造して売りさばき、主要な外貨収入源のひとつとしているという疑惑がもたれています。」
「そういえば。」
「そういうところから考えると、単に『売り物に手をつけるな』ということなのかもしれません。」
「そっちのほうがメインかもしれませんねえ。」
「しかしながら大学に入る人が減少しては、国の教育水準が低下して国力の衰退につながります。」
「そうですねえ。」
「本を吸わせるんですか。」
