「夜の校舎窓ガラスまわしてまわった♪」
「桂小枝さんの特技はざぶとんや畳を回すことです。」
「イギリスのスーパー『マークス・アンド・スペンサー』とイギリス政府が30年に渡って争っている裁判が大詰めを迎えているそうです。」
「マークス・アンド・スペンサーは『ティーケークス』というお菓子を売っているのですが、これがケーキかビスケットかという問題です。」
「どっちでも良さそうな気がしますが。」
「いえ、イギリスの税制では、ケーキには付加価値税がかかりますが、ビスケットにはかからないのです。」
「ほかにもポテトチップスやアイスクリームには付加価値税がかかりますが、フローズンヨーグルトやトルティーヤチップスにはかからないそうです。」
「今ひとつ区別の基準がわかりませんが。」
「とにかくそういう基準でビスケットにはかかり、ケーキにはかからないのです。」
「まあまったく納得は出来ないですがそうなんですか。」
「この付加価値税は17．5%あり、かかるとかからないでは価格が二割も違ってきます。ティーケークスがもしビスケットであると認定されれば、スーパーは大損害です。しかしケーキと認定されれば安く売れるのです。」
「そんなにややこしい存在なんですか。」
「ビスケットの上にマシュマロがのり、そこにチョコレートがかかっています。」
「微妙な存在ですね。」
「つまり法律を定めた時には明確だった区別が、発明や工夫により境界線が曖昧になりつつあるというわけです。」
「法律もなかなか変わりませんしねえ。」
「これから先も、半分がヨーグルトのフローズンアイスヨーグルトや、ジャガイモとトマトの合成植物であるポマトで作ったポマトチップスが出現すれば、いったいどんな騒ぎになるでしょうか。」
「何年ぶりに聞いた言葉でしょうかポマト。」
「そこで新しい税制を考えました。」
「○税です。」
「いえ伏せ字ではなく『○』税です。」
「○税？」
「ものの種類にかかわらず丸いものにかかる税です。」
「たとえばドラえもんのぬいぐるみには税がかかりますが、ゴールドライタンは無税です。」
「まあライターから変身するロボットでしたから四角ですが。」
「西日本の雑煮は税がかかりますが、東日本は無税です。」
「まあ雑煮に入れる餅が西日本は丸餅、東日本は角餅と言いますが。」
「ぷよぷよはやや税がかかりますが、テトリスは無税です。」
「ややなんですか。」
「余計にややこしい気がしますが。」
「こうすることによって、税金を安くしようと世の中のものがどんどん四角くなっていく効果があるわけです。」
「してどうするんですか。」
「四角いものが増えれば、今まで丸いものだと無駄になっていたスペースも有効利用できるではないですか。」
「まあ収納スペース的にはそうかも知れませんが。」
「そうすると、流通や販売も効率的になり、消費が大いに伸び、四角い製品も大いに売れ、」
「□税をかければ税収が大幅にアップするわけです。」
「それが目的か。」
「そうすると丸いものが増加し、○税を掛けるタイミングが近づきます。そして再び四角が増えるという繰り返しなのです。」
「意味のない繰り返しだなあ。」
「そんな丸と四角のせめぎ合いの中で生まれたのが、前方後円墳というわけです。」
12月21日、前方後方墳は税率が二倍に。
