ふたご1

「お昼休みは丑三つどっきっ!♪」


ふたご2

「どちらかというとタモリ倶楽部に近いですね。」


ふたご1

「ナポレオンですが。」


ふたご2
「唐突な入り方ですね。」

ふたご1

「ナポレオンと言えば、死因が毒殺ではないかという説が数世紀にわたって唱えられてきました。」


ふたご2

「そうなんですか。」


ふたご1

「特に、ナポレオンの髪の毛から大量のヒ素が検出されてからは、その説の勢いはたいへん強くなったものです。」


ふたご2
「もう決定的なんじゃないですか。」
ふたご1

「しかし、このたびイタリア国立核物理研究所が幼少時からのナポレオンの髪の毛を調べたところ、子供の頃からナポレオンの髪の毛には大量のヒ素が含まれていたと言うことなのです。」


ふたご2

「え、どういうことなんですか。」


ふたご1

「つまりナポレオンは怪奇ヒ素人間だということです。」


ふたご2

「怪人みたいに言うな。」


ふたご1

「あの厳しいフランス革命の時代をくぐり抜けたのはこのヒ素の力だったのです。」


ふたご2

「どんな力だ。」


ふたご1

「ギロチンで首を斬ろうとする人々を次々と、指先からのヒ素発射で倒し。」


ふたご2

「出せるのかヒ素。」


ふたご1

「そして邪魔する者を次々とヒ素で倒し、皇帝にのぼりつめたのです。」


ふたご2

「そんなのぼりつめ方でしたか。」


ふたご1

「ヒ素の力でヨーロッパ制覇をもくろむナポレオン、しかしその前に立ちはだかったのがイギリスです。イギリスの名将・ネルソン提督率いる艦隊を撃滅せんと、ナポレオン率いるフランスヒ素艦隊が出航します。」


ふたご2

「艦隊名にまでつきますか。」


ふたご1

「しかし、海ではヒ素は海水で希釈されてしまって致死性を失い、イギリス艦隊の大砲の前にフランス艦隊はなすすべもなかったのです。」


ふたご2
「ヒ素と大砲で戦うなよ。」

ふたご1

「仕方がないので陸で戦うことにします。」


ふたご2

「陸ならいいというものでしょうか。」


ふたご1

「そして、ナポレオンはロシア遠征に出かけることにします。」


ふたご2

「寒いですよロシア。」


ふたご1

「そう、あまりの寒さにヒ素がちょっとだけしか出なくなったのです。」


ふたご2
「どういう仕組みだ。」

ふたご1

「そんなわけで、ロシアからほうほうの体で逃れてきたナポレオン。そんな彼の前に新たな敵が現れます。」


ふたご2

「まあ出ますけど。」


ふたご1

「かつてナポレオンに従っていた国も反旗を翻し、第六次対仏大同盟が結成されるのです。」


ふたご2

「はい。」


ふたご1

「参加した国はイギリス・プロイセン・ロシア・オーストリア・スウェーデン・ライン連邦。」


ふたご2

「ほぼ全ヨーロッパですね。」


ふたご1
「しかもその軍隊にはロシアの青酸皇帝アレクサンドル1世、プロイセンの鉛怪人ブリュッヘル元帥に水銀参謀グナイゼナウ将軍、イギリスの塩素公爵ウェリントン公、スウェーデンのトリカブト王太子ベルナドット…。」
ふたご2

「いつからヨーロッパはそんな怪人だらけになったのですか。」


ふたご1

「まさに毒をもって毒を制すの精神です。」


ふたご2

「やかましい。」


ふたご1

「そしてそれを影でまとめる、オーストリアのカフェイン宰相メッテルニヒ。」


ふたご2

「毒性低いですね。」


ふたご1

「やはり、まとめ役というのはひかえめでないと。」


ふたご2
「毒性をひかえられても。」

ふたご1

「そんなわけでナポレオンは敗れ、毒性が危険にならないように海に囲まれたエルバ島に流されたのです。」


ふたご2

「近隣住民の健康が心配ですが。」


ふたご1

「そのため近隣住民の反対運動が起こり、ナポレオンをパリに戻しました。その後、セント・ヘレナ島に移しました。これが百日天下です。」


ふたご2

「天下というかなんというか。」


ふたご1

「そう考えると、今の政治家には毒気が足りませんね。」


ふたご2
「あってたまるものか。」

2月15日、どくどくどく。

SAKANAFISHホームへ

過去のふたご対談