ふたご1

「北京ベルリン上海伊勢志摩!」


ふたご2

「まあリベリアよりはアジアですが。」


ふたご1

「ベルリンでモーツァルトのオペラ『魔笛』が上演されたそうです。」


ふたご2
「そりゃまあ上演されることもあるでしょう。」

ふたご1

「ただ、ちょっと上演された場所が特殊でして。」


ふたご2

「オペラハウスじゃなかったんですか。」


ふたご1

「地下鉄の駅だったそうです。」


ふたご2
「地下鉄ですか。」
ふたご1

「なにしろ声が響きますから。」


ふたご2

「いやまあそうですけど。」


ふたご1

「あとチケットのチェックもしやすいです。」


ふたご2

「自動改札なんですか?」


ふたご1

「あと椅子を用意しなくても、立つことに観客が違和感を覚えません。」


ふたご2

「手を抜くな。」


ふたご1

「そしてなにしろ左右に広いホームで効果的な演出ができます。」


ふたご2

「しかし俳優はたいへんでしょう。」


ふたご1

「せっかく広いステージですから左右にばーっと走ってもらいますので。」


ふたご2

「疲れますねえ。」


ふたご1

「そこは俳優と列車を合体させるので楽々です。」


ふたご2

「きかんしゃトーマスじゃないですか。」


ふたご1

「そしてステージに到着してピーッと魔笛を。」


ふたご2
「それは汽笛だ。」

ふたご1

「アメリカの公共放送PBSが新しい取り組みを始めたそうです。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「未来の車に関するドキュメンタリーを放送したのです。」


ふたご2

「それのどこが新しいんですか。」


ふたご1

「いえ、本編よりも放送終了後に変わったことが行われるのです。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「インタビューなどの放送素材をすべてノーカットで、しかもフリーで提供するのです。」


ふたご2

「ということは、その放送素材で自分だけの番組を作れるということですか。」


ふたご1

「そのとおりです。」


ふたご2

「それはたしかに画期的ですねえ。」


ふたご1

「なにしろテレビというのはちょっとした編集やイメージの作り方で、まったく違ったようにうつるものですから。」


ふたご2

「恐ろしいところですね。」


ふたご1
「ですから、このドキュメンタリーも編集次第では、アメリカを影であやつる黒い車人の陰謀を暴くドキュメンタリーになったりもするわけですよ、マイケル。」
ふたご2

「何がマイケルか。」


ふたご1

「これもいろいろな番組でやるとおもしろいですね。」


ふたご2

「そうですね。」


ふたご1

「たとえばドラマなんかも。」


ふたご2

「それはストーリーが無茶苦茶になったりしませんか。」


ふたご1

「2時間ずっと崖の上のサスペンスドラマなんかも出来るわけです。」


ふたご2
「完全に無茶苦茶ですね。」

ふたご1

「そのほかには押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよと言われても押さないダチョウ倶楽部なども。」


ふたご2

「それはあまりにも残酷です。」


ふたご1

「このようにテレビ番組の構造をも根底から覆すことが出来るわけです。」


ふたご2

「覆さなかったほうが良かった気もするわけですが。」


ふたご1

「これが出来るまでは、放送終了後に放送されるつぶつぶの映像を編集して暮らすことにします。」


ふたご2
「もうちょっと自分を覆したほうが良さそうです。」

5月2日、映像の世紀。

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