ふたご1

「メーリーメーリクリスマス♪ アンド ハッピー ニュー ラーイス♪」


ふたご2

「クリスマスと新米のとれる時期とは離れすぎです。」


ふたご1

「ルーマニアでこのほど村長選挙があったんですが。」


ふたご2
「はあ。」

ふたご1

「投票開始後に候補であった前村長が病死してしまいまして。」


ふたご2

「あらまあ。」


ふたご1

「まあそれはそれとして投票を続けたところ。」


ふたご2
「それとするなよ。」
ふたご1

「なんと亡くなった前村長が当選してしまったのです。」


ふたご2

「えええ。」


ふたご1

「まあ、ドラキュラで有名なルーマニアなのでそれぐらいは驚くべき事ではないのかも知れませんが。」


ふたご2

「化け物かよ。」


ふたご1

「残念ながら選挙法の規定によって、次点であった対立候補が村長となることとなってしまったようですが。」


ふたご2

「そりゃそうでしょう。」


ふたご1

「しかしですよ。」


ふたご2

「なにがですか。」


ふたご1

「生きている候補者より、死んでいる候補者がいいと思った選挙民の気持ちはどうなるんですか。」


ふたご2

「いやでも村長がいないと困るでしょう。」


ふたご1

「北朝鮮をご覧なさい。国家主席が亡くなった金日成なのに、何も困っていないじゃないですか。」


ふたご2

「それ以前に困っていそうな国ですが。」


ふたご1

「ともかく、これは民主主義という制度に突きつけられた重大な課題です。」


ふたご2
「そうなんですか?」

ふたご1

「これまで、選挙民は個人を選挙で選んできました。」


ふたご2

「はあ。」


ふたご1

「しかし、その個人がどんな状態であるか、そこまで注目して投票してこなかったのではないでしょうか。」


ふたご2

「どういうことですか。」


ふたご1

「たとえば人間、普通の時と背中がかゆくてたまらない時に同じ思考状態でいるでしょうか。」


ふたご2

「そりゃまあ違うと思いますが。」


ふたご1

「つまり、背中がかゆくてたまらない状態のほうが、良い考えが出来るという候補者も存在するかも知れないのです。」


ふたご2

「そうなんですか?」


ふたご1

「だから候補者も、その状態をキープし続けることを事前に公約しておく必要があるわけです。」


ふたご2

「キープ?」


ふたご1

「だから候補者名も『背中がかゆい山田一郎』とか『痛風の大貫民雄』としておきます。」


ふたご2

「されてもなあ。」


ふたご1
「もし山田一郎議員の背中がかゆくなっていなかったら、その意見は聞き流してもいいのです。」
ふたご2

「そんなに変わるんですか山田一郎議員。」


ふたご1

「だから山田一郎議員には、背中に山芋をぬるなどして背中をかゆくし続けるかどうか、我々市民が監視しつづける必要があるわけです。」


ふたご2

「しょうもない監視ですねえ。」


ふたご1

「大貫民雄議員がいかにプリン体を摂取しているかも監視しつづける必要があるのです。」


ふたご2

「ひどいことするなあ。」


ふたご1

「ルーマニアの人も、ちゃんと村長が死に続けているかどうかを監視しつづける必要があるのです。」


ふたご2
「いやあの死んでいるんですが。」

ふたご1

「手に木の杭と十字架を持った市民オンブズマンが活躍するのです。」


ふたご2

「やっぱり化け物じゃないですか。」


ふたご1

「そしてプリン体をとっているかどうか監視しつづける必要があるわけです。」


ふたご2

「死んでる上に痛風なのか。」


ふたご1

「そう、そしてオンブズマンは常に背中をかいているのです。」


ふたご2
「そっちもか。」

6月20日、無所属無かゆみ

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