ふたご1

「テレビ出てる時に〜い〜〜♪手をショーウインドーにあてたらあ〜〜〜ぁ♪だいたいなんか出てくる〜♪」


ふたご2

「マジシャンの『セロ詩吟』は無いと思います。」


ふたご1

「裁判員制度が話題になっている昨今ですが。」


ふたご2
「はいはい。」

ふたご1

「インドネシアでもこのほど画期的な裁判法が決まったそうです。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「汚職事件の被告に限られるのですが。」


ふたご2
「はあ。」
ふたご1

「汚職事件の被告には、でっかく『汚職者』と書かれた服を着せられるのです。」


ふたご2

「えええ。」


ふたご1

「恐ろしいことです。」


ふたご2

「そうですねえ。」


ふたご1

「汚職で肥え太った被告がそんな服を着たら、『汚職者』という文字が横にびろーんと伸びてしまうではないですか。」


ふたご2

「いや心配するところはそこではなくてですね。」


ふたご1

「はい?」


ふたご2

「裁判というのは有罪か無罪かを決めるところなのに、最初から有罪が確定しているような扱いをするのはまずいんじゃないでしょうか。」


ふたご1

「なるほど、推定無罪の原則という奴ですか。」


ふたご2

「そういうことですね。」


ふたご1

「しかしながら、裁判に臨む被告達が、あまりにも悪びれた様子がないとして、インドネシア国民の反発が高まっているのです。」


ふたご2

「といってもねえ。」


ふたご1

「ですからあくまで推定無罪の原則を守りつつ、インドネシア国民の感情も満足するような措置を考えなくてはなりません。」


ふたご2
「まあ考えるだけ考えてみてください。」

ふたご1

「まず裁判の立て直しから始めます。」


ふたご2

「制度改革ですか。」


ふたご1

「いや、より正確に言うと。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「裁判所の建て直しから始めます。」


ふたご2

「裁判所の?」


ふたご1

「そう、裁判所の高さを今の五分の一ほどにします。」


ふたご2

「五分の一?」


ふたご1

「そうすると、裁判所にはいる時も、裁判を受ける時も、常に土下座をしているような形になるのです」


ふたご2

「いやひどすぎませんか。」


ふたご1

「大丈夫です。裁判官も弁護士も検事もみんな土下座してますから。」


ふたご2

「嫌な裁判だなあ。」


ふたご1

「『証人の方、あの日あなたと出会ったのは間違いなく被告ですか?』『よくわかりません。』」


ふたご2

「顔も上げられないようなシステムにするな。」


ふたご1

「しかしこのようなシステムになれば、腰痛持ちの方は裁判を受けようなどとは思わないでしょう。」


ふたご2

「裁判は長時間になりますしね。」


ふたご1

「しかし、腰痛持ちの裁判官もいるかも知れません。」


ふたご2

「そりゃいるでしょう。」


ふたご1

「そこで天井には、ローラーがついていて、腰をやさしくマッサージしながら裁判が可能です。」


ふたご2
「でも手や足もきついでしょう。」

ふたご1

「そういうわけなので、地面にもローラーが。」


ふたご2

「両方ローラーですか。」


ふたご1

「こうすることによって、裁判のスピードアップもはかれます。」


ふたご2

「なるんですか。」


ふたご1

「だいたい10分もすれば、全員平べったくなって裁判所の外に出されてしまいますから。」


ふたご2
「平べったい裁判官を増やして何をするつもりだ。」

8月22日、最高も最低もない、ただ同じ平べったさの裁判官達に乾杯。

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