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いや雪景色じゃなくて。 | |
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真っ白は真っ白なんだがなあ。 |
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街が真っ白ならそれは雪景色ととらえるのが正常な大英帝国人の発想だろう。 | | |
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とらえるもなにも真っ白になる過程を見てただろう?
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大切なのは過程ではなくて結果を出すことだよ。それがわれわれスポーツ選手に課せられた課題というものではないかね?
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誰がスポーツ選手だよ。 |
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囲碁や将棋は盤上の格闘技と呼ばれ、麻雀は中国ではスポーツだよ?
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それで? |
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だから僕が行っている推理というのもスポーツといえなくもないのだよ。
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そうなのかなあ。
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たとえば証拠を集めるときに僕はいつも反復横飛びだ。 |
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無駄な運動だなあ。 |
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話してもらえるものも話してもらえないぞ。 |
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するなするな。 | |
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犯人と証言者同じ扱いかよ。 |
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コートの上ではすべてが同じプレイヤーだ!誰もがダンクシュートされないと思ったら大間違いだ! |
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わけのわからないことを言うな。 |
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わけがわからない?
一人がわけがわからなければ、みんなはそれをわかるように努力するのがスポーツじゃないか!
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ますますわからん。 |
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意味を誤解しすぎだ! |
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キャプテンの言うことを聞かない奴は鉄拳制裁だ!
これぞスポーツの掟! |
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今のご時世そういうことは通用しないぞっ!
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ぬうっ!20世紀初頭のこのご時世に生意気な!とうっ!
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やるかこの野郎っ! |
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ふっ、あくまで逆らうつもりか!
ならばわがスポーツの最終奥義をみせてやる!
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さ、最終奥義? |
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かつて東洋で、雪上に敵なしといわれた、雪上格闘術「ネブゴル」!
その究極奥義… |
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最終で究極!? |
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う、うわあああああ!
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え?
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あれっ?
馬鹿な!技が出ない!?
雪さえあれば必ずこの技は発動するというのにっ!?
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だから雪景色じゃないというのに。 |
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おのれっ!街をこんなに真っ白にした奴めっ!
この僕に始めて敗北の味を味あわせたやつだっ!
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だからそれは君自身だろ。 |
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忘れたのかっ!
君がなぞの人物から届き続けたたくさんの手紙を窓の外に投げまくっていたらこんなことになってたんだ! |
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うわあなんてことだ!
くそうなぞの人物め!ロイヤルメールにどれだけ郵便料金を支払えば気が済むんだ!僕の郵政民営化計画を阻止するつもりかっ! |
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立ててたのかよそんな計画。 |
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しかしなぞの人物についてわかることはミルヴァートンに恐喝されており、ミルヴァートンがモリアーティ教授にあてて出したラブレターを入手できる立場にあったということと…。
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え?あれだけ届いた残りの手紙に何も書いてなかったのか? | |
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なぜだっ!
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どうしても読む気になれなかった。
これがいわゆる活字離れという奴だろうな。 |
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めんどくさかっただけだろうが。 | |
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しかし出した人間を突き止めなければならないということは、あれを全部読まなきゃならんということか。いやだなあ。
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というかあのベーカー街を埋め尽くした手紙を回収するだけでも一苦労だぞ。
後先考えずに捨てるからだ。 | |
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仕方ないだろう。 | |
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誰かかわりに読んで内容をまとめてくれると楽でいいんだがなあ。
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ささいな記述から犯人を当てたりするのがミステリーの醍醐味という奴じゃないのか? | |
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しかしあの膨大な手紙をまとめてよむような仕事は誰もやりたくないだろうなあ。バイトにやらせるにしても時給がかかりそうだし… |
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だから自分で読めって。 |
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な、なんだい!? |
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肝心なことを忘れていた!
あの膨大な手紙を送りつける奴なんてそうそういるはずがない!
そしてあの膨大な量の手紙がポストに入るはずもない!
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そ、そうか! |
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この手紙を送りつけた奴は必ず、郵便局員の目にとまっているはずだ! |
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おおっ!そして手紙の消印と照らし合わせれば!
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そう!
「こんなに大量の手紙にはいったい何が書かれているんだろう?」と興味を持ち、手紙を全部読んで内容を簡潔なレポートにまとめた郵便局員に出会えるはずだ!
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| いねえよそんな奴! |
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