ふたご1

「ぞうさんぞうさん、チリは長いのね。そうよ、イタリアも長いのよ。」


ふたご2

「イタリアはそれほどでもないです。」


ふたご1

「いろんな省があることで知られるロシアですが。」


ふたご2

「だいたいの国にいろいろあります。」


ふたご1

「そのロシアの緊急事態省のショイグ大臣の発言で大変なことになっているそうです。」


ふたご2

「自ら緊急事態を作り出しましたか。」


ふたご1

「このショイグ大臣が、『天気予報が外れたら責任を取ってもらう必要がある』と上院への活動報告を行ったそうです。」


ふたご2

「うわあ。」


ふたご1

「もしこんなことになったら、あの人やあの人やあの人も破産してしまいます。」


ふたご2

「それぞれの地方で思い当たる人の名前を入れてみましょう。」


ふたご1

「しかしながらそういった事情はロシアでも同じようなので、気象庁のビリファンド長官は、『いくらお金を掛けても正確な予報は不可能』と反論しています。」


ふたご2

「そうですねえ、お空のことですから。」


ふたご1

「しかしながら、ロシアにはかつてソ連という国がありまして。」


ふたご2

「ありましたというかなんというか。」


ふたご1

「その国では、革命記念日など重要な日には、軍の飛行機を飛ばして雲にヨウ化銀を撃ち込んで雨を降らせ、目的地は無理矢理晴れにするということをやっていました。」


ふたご2

「今もやってるそうですが。」


ふたご1

「つまり、お金をかければ少なくとも雨では無いようにすることができるというわけです。」


ふたご2

「一年中やったらさすがに悪影響が出るような気もしますが。」


ふたご1

「しかし一介の気象庁にそんなことが出来るわけもありません。だから長官も反論しているのでしょう。」


ふたご2

「まあそこまで考えて反論する必要はないわけですが。」


ふたご1

「ですので、気象庁長官のために、もっとお金がかからず天気を変えられる方法を考えてみましょう。」


ふたご2

「いや長官もたぶん望んでません。」

ふたご1

「まず、全ロシアの天気を変えるのにはとてもお金がかかります。」


ふたご2

「広いですからね。」


ふたご1

「ですので、エリアを区切って天気を操作しましょう。」


ふたご2

「区切ってでもできるのですか。」


ふたご1

「まあなんとかなるでしょう、人一人ぶんぐらいは。」


ふたご2

「ひとり?」


ふたご1

「要するに、予報が出来なくて怒っているのはショイグ大臣一人なのですから、ショイグ大臣一人のまわりの天気が完璧に当たるようになれば、本人も安心してくれるのではないでしょうか。」


ふたご2

「子供だましにもほどがありますね。」


ふたご1

「ですのでショイグ大臣のまわりには常にヨウ化銀とじょうろを持ったスタッフが密かにつきまといます。」


ふたご2

「手ひどい話ですねえ。」


ふたご1

「そして『晴れ』の日にはヨウ化銀をまき、『雨』の日には水をまく、そんな暮らしをするのです。」


ふたご2

「晴耕雨読みたいな言い方をしないでください。」


ふたご1

「そして『花粉が多い日』には花粉を、『黄砂が多い日』には黄砂を。」


ふたご2

「ロシアにあるんですか花粉症や黄砂。」


ふたご1

「『ピロシキの日』にはピロシキを、『ボルシチの日』にはボルシチを。」


ふたご2

「いやロシアにあるというだけでそんなこと言われても。」


ふたご1

「そうしているうちに、さすがのショイグ大臣もちょっとおかしいなと思ってくるでしょう。」


ふたご2

「だいぶおかしいですからね。」


ふたご1

「だまされていたことに気づいたショイグ大臣は、気象庁に怒鳴り込んでくるでしょう。」


ふたご2
「まあそうでしょう。」

ふたご1

「しかし、そこで目にしたものは、今までショイグ大臣付近の天候を操作するために働いていた、たくさんの職員と、そのローテーション表…。」


ふたご2

「…。」


ふたご1

「その光景を見たショイグ大臣の目から、大粒の、雨が…。」


ふたご2

「……。」


ふたご1

「そこでこうなることは予想してましたよ、と予報士達が…。」


ふたご2
「……………………………………………………。」

3月5日、そして大臣の顔が雨のち晴れに…。

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