ふたご1

「みんな!ニューヨークに行きたいか!三日たったら帰ってきたいか!」


ふたご2

「とりあえず三泊するということは伝わりました。」


ふたご1

「ニーズを掘り出すのが難しいと言われる昨今ですが。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「ワコールが新しい男性用下着を発売するそうですよ。」


ふたご2

「女性用のイメージが強いところですが。」


ふたご1

「女性用の下着といえば様々な機能が売りとなっていますね。」


ふたご2

「よせたりあげたり。」


ふたご1

「そんな感じで男性用でも寄せたり上げたりする下着をワコールさんでは販売しております。」


ふたご2

「まあ男性でも出たり出なかったりするところはありますが。」


ふたご1

「ただ今回の下着は若干目の付け所が異なっております。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「下着の表面にすべりどめがついています。」


ふたご2

「表面にすべりどめ?」


ふたご1

「たとえばスーツを着ると、いつの間にかワイシャツがはみ出してしまっていることとかありませんか。」


ふたご2

「立ったり座ったりするとそうなりますね。」


ふたご1

「この下着のすべりどめがワイシャツを押さえ、はみ出るのを防ぐのです。」


ふたご2

「それは発想の転換ですねえ。」


ふたご1

「ここに至るまで、人類はどれだけの時間を費やしてきたことでしょう。」


ふたご2

「まあワイシャツが発明されて移行の事ですからかなりですね。」


ふたご1

「ワイシャツをまたにくぐらせ、ボタンで留めるという力業の開発が試みられたこともありました。」


ふたご2

「かなりかっこ悪い出すねそれ。」

ふたご1

「もうワイシャツはいらないという一派も現れ、彼らはステージ上で歌って踊る道を選びました。」


ふたご2

「素肌にジャケットアイドルはそんな出生を。」


ふたご1

「その中のむしろジャケットやズボンもいらないのではという一人と官憲の激しい抗争も。」


ふたご2

「こらこら。」


ふたご1

「しかしひとたびこのような発想の転換があれば、彼らもそんな道を歩まずにすんだのです。」


ふたご2

「関係はないですよおそらく。」


ふたご1

「しかし裏を返せば。」


ふたご2

「かえしますか。」


ふたご1

「このような技術が必要とされるニーズは、まだまだあるのかもしれません。」


ふたご2

「どういうことですか。」


ふたご1

「つまり日常生活において、当たり前だと思っているような不便なことです。」


ふたご2

「そういわれましても、改めて何かあるかと聞かれると難しいですねえ。」


ふたご1

「そう言わずに、いっしょに考えましょう。」


ふたご2

「うーん。」


ふたご1

「うーん。」


ふたご2

「うーん。」


ふたご1

「ああ、こんな時に不便なことを思い出せる物があればいいのに!」


ふたご2

「かなり目的と手段が入れ替わっていますね。」


ふたご1

「しかし不便なことを思い出させる物がない!」


ふたご2
「だから困ってるんですが。」

ふたご1

「そうだ、不便なことを思い出させる物を作成するヒントを思い付けばいいんだ!」


ふたご2

「え。」


ふたご1

「しかしぜんぜんヒントを思い付かない…。ううう…。」


ふたご2

「思考の迷路に自ら迷い込んでいますね。」


ふたご1

「そうだ!将軍様、その屏風から虎を追い出してください!」


ふたご2
「そこは出口じゃない。」

8月12日、迷路会計。

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