ふたご1
「明日からは空気が乾燥しますので、火の元やエジプトには十分お気をつけください。」
ふたご2
「雨期もあるのでイメージほどは乾燥していません。」
ふたご1
「そんな乾燥と湿度には気を遣う発掘業界ですが。」
ふたご2
「そういうものなんですか発掘業界。」
ふたご1
「京都府長岡京市の古墳で珍しいガラス玉が発見されたそうです。」
ふたご2
「ガラスですか。」
ふたご1
「見つかったのは正確には1988年なんですが。」
ふたご2
「20年以上前じゃないですか。」
ふたご1
「この時代、ガラスというだけでも珍しいのですが、なんと中に金箔がはさんであります。」
ふたご2
「はあ。」
ふたご1
「ガラスではなくてパンやスポンジケーキなら珍しくはないですね。」
ふたご2
「現代でも生クリームがはさんであるのは、それほど珍しくはなかったのですが。」
ふたご1
「ガラスは当時超高級品、金箔も当然超高級品、贅沢で贅沢をはさみました。」
ふたご2
「その紹介文だと宝飾品というか銘菓よりになってきましたが。」
ふたご1
「しかし当時の日本にこうした技術があったかといえば、やはり疑問でした。」
ふたご2
「そうですか。」
ふたご1
「これまで発見されたこうしたガラス玉は多くはアジア製だったのですが、今回のはちょっと違います。」
ふたご2
「どこなんですか。」
ふたご1
「なんとローマで作られたものであるという可能性が出てきたのです。」
ふたご2
「それはまた遠いところからはるばると。」
ふたご1
「思わずぶぶ漬けを出してしまうほど遠くからです。」
ふたご2
「帰してどうする。」
ふたご1
「もし金箔がパフ入りチョコレートだったら朝鮮半島からの可能性もあったのですが。」
ふたご2
「それはビックリマンチョコの構造です。」
ふたご1
「しかしシルクロードでつながっていたとはいえ、古墳時代でもローマの産品が届くとは驚きです。」
ふたご2
「そうですねえ。」
ふたご1
「こうなるとですよ。」
ふたご2
「なんですか。」
ふたご1
「日本のものも何かむこうに伝わっているかもしれません。」
ふたご2
「さすがにそれはどうでしょうかねえ。」
ふたご1
「いったい何に何をはさんでいたのか。」
ふたご2
「シルクロードというのは、はさんだ物を運ぶ道ではないはずですが。」
ふたご1
「日本特有といえばうるしとかですが。」
ふたご2
「そうなんですか?」
ふたご1
「実際には中国にもありますが、英語圏では漆塗りをjapanというぐらいに浸透しているのです。」
ふたご2
「そうなんですか。」
ふたご1
「私たちの遠い遠い先祖が、ガラス玉にうるしを挟んで、それがシルクロードを渡り、遠い遠いローマの人々を、うるしでかぶれさせていたかと思うと、ロマンがありますねえ。」
ふたご2
「いやなロマンだなあ。」
ふたご1
「そういったロマンが人々を古代の探求に突き動かしてきたのです。」
ふたご2
「むしろ動かなければいいのに。」
ふたご1
「しかしとなるとさらなるロマンを人は求め出します。」
ふたご2
「難儀な話です。」
ふたご1
「ほかに日本の産品といえば、カキですね。」
ふたご2
「ないんですかこれも。」
ふたご1
「意外とヨーロッパ近辺に野生の柿はありませんし、日本経由で正式に伝来したのも18世紀頃だそうです。」
ふたご2
「しかし生物を運ぶのは大変だとおもいますがねえ。」
ふたご1
「我々の遠い遠い祖先の日本人が、まだ青い柿をガラスに挟み、シルクロードを渡って、遠い遠いローマに届け、その種をローマのかにが育て、サルが柿の木の上に登り、そこからローマ人に青い柿をぶつけていたかと思うと、ロマンがありますねえ。」
ふたご2
「そんな思いをしてまで得るものなのかロマンは。」
6月22日、意外とサルも